2022年10月21日の日経新聞の朝刊によると、政府の規制改革推進会議は20日、介護、保育、障害者などの分野を超え、複数の福祉施設を一体的に運営できるようにする案を提起したとのことです。
同日開いた医療・介護分野の作業部会で議論されました。介護など福祉の現場は人材不足が深刻化しており、規制改革推進会議は全国の福祉関係施設のDXの加速や人材を効果的に活用するマネジメントの徹底、経営の合理化が必要とみる。
経営能力のある人材が管理者に就くことで、複数の施設へのIT(情報技術)の導入やより効率的な施設運営が進むと見込みます。食事など施設内の各種サービスを迅速に一体化できるとの期待もあります。
現行制度では、介護などは施設や事業所ごとに管理者を置く必要があります。これまでは複数の施設を同一の社会福祉法人が所有することができても、同一の管理者を置くことは難しかった現状があります。介護施設の場合、同じ敷地内や近隣にある施設の管理業務を兼務する場合にも大きな制約がありました。
通所の介護施設と障害者施設の場合、法令上は可能でしたが、国は「運営に支障がない場合」と定める。自治体の解釈次第で認められないこともあり、事業者が実際に一体運営に踏み切りにくい事実上の規制となっていました。
内閣府と厚労省が協議し、隣接する複数の施設を一体運営しても問題ないというような明確な基準づくりを検討します。安全性などサービスの質が落ちないよう、一定の要件を設けるとみられます。
隣り合う介護施設と保育施設を一体で運営することで、高齢者と子どもが交流できる「幼老複合施設」なども設けやすくなります。高齢者が子どもとふれあったり、一緒に運動したりする異世代交流で互いに学び合う機会が得られます。
福祉施設の運営が規制緩和により効率化され、質の高いサービスを働き手の賃金を維持したまま提供できることが望まれます。
そのために、経営能力のある管理者の管理業務の兼務やIT化の推進は早急に取り組むことを後押しする規制改革は大歓迎です。
昨今、新型コロナのまん延や円安の進行で、外国人労働者が日本で働きにくい状況が続いている現状も踏まえ、人手不足を想定した対応が益々必要になるのではないかと思います。