本日の日経新聞の記事によると、新型コロナウイルス対策の長期化で、高齢者施設に入所する人の認知や身体機能の悪化が鮮明になっています。
広島大などの研究グループが6月にまとめた調査結果によると、入所者の認知機能の低下がみられたと回答した施設は8割に上り、前回調査を上回りました。面会や外出などの行動制限が背景にあるとみられます。
入所する軽度、中等度、重度の認知症の高齢者への影響を尋ねたところ、「認知機能の低下」がみられたと答えた施設は80.3%に上った。研究グループが同様の調査を実施した20年6月時点と比べて約19ポイント悪化しました。
ほかの質問項目では「身体活動量の低下」が20年6月より10.6ポイント増の72.3%、「歩行機能の低下・転倒」は同19.9ポイント増の56.8%で、いずれも悪化がみられました。
研究グループは新型コロナの感染拡大に伴う行動制限の長期化が要因と分析しています。フレイルは活動量の低下や社会との交流機会の減少などに起因するとされ、長引く制限による影響が懸念されるとしています。
調査では施設側の行動制限の内容も尋ねており、「家族・友人との面会制限」は97.8%が実施しており、20年調査とほぼ同水準でした。「外出制限」(95.5%)と「施設へのボランティア訪問の中止」(93.7%)は20年調査より増えていました。
厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織は6月8日、医療・介護現場に感染対策の緩和を促す提言をまとめた。高齢者施設ではマスク着用のもと短時間・少人数で一定の距離をとれば面会は可能とする見解を示しました。
コロナ下で低下した入所者の生活の質(QOL)を向上させるためにも、新型コロナ対策については、国や自治体の動向を踏まえながら、行動制限の緩和と感染防止策を両立させる工夫が必要となります。
日経新聞2022年6月26日より引用