高齢者の嚥下、音で分析

昨日の日経新聞の記事によると、SOMPOホールディングス(HD)は、音声分析などを手掛けるスタートアップなどと組み、音声で高齢者の嚥下(えんげ)機能の状態を調べられる技術を開発しました。音声の解析にはスマートフォン(スマホ)などを使い、2022年秋をめどに事業化します。

厚生労働省によると、20年の誤嚥性肺炎による死亡者数は4万人超。開発した技術を活用し、介護現場でのリスク低減などにつなげます。

SOMPOHDは、子会社で介護事業を手掛けるSOMPOケア(東京・品川)と、音声分析などを手掛けるスタートアップのPST(横浜市)と共同で開発しました。

高齢者の嚥下機能を評価できるのは「摂食・嚥下障害看護認定看護師」など、資格を持つ一部の専門職に限られています。そのため介護施設などでは専門職が不足し、頻繁に嚥下機能を評価できないという課題があります。

PSTは音声で健康状態などを判定する「音声病態分析技術」を持ちます。同技術を活用し、嚥下機能の低下を把握できる仕組みを開発しました。スマホなどに向かって複数パターンの発声をするだけで、即座に嚥下機能の状態を画面上に可視化できるのが特徴です。

アプリで簡単に嚥下機能の状態を調べられるようになれば、適切なタイミングで専門職による評価や医師の診断につなぐことができます。機能低下の予防などに生かせる可能性があります。

まずはSOMPOケアの施設に導入し、将来的には外販や海外での展開も視野に入れています。

ITは、介護分野との相性が非常によいので、活用事例が増えることを期待します。スマホなど特別な専用機材などを用いる必要がなく、アプリをインストールして使用できるだけで手軽に利用できるのであれば、介護現場での導入のハードルも低いため広く普及しやすいのではないかと思います。

日経新聞2022年2月9日より引用