企業の人材価値開示に指針 政府、学び直し戦略など促す

本日の日経新聞の記事によると、政府は今夏にも企業の「人的資本」に関する情報開示指針をつくとのこと。専門会議で社員の多様性や人材教育などの開示内容を議論します。働き手の能力や知識は新たなアイデアを生む資本と捉えられ、競争力や企業価値を左右する要素として投資家の関心が高いです。欧米は先行しており、開示をテコに企業の人材戦略の強化を後押します。

内閣官房が2月に専門会議を設置し、開示を求める項目や評価方法について具体的な検討を進めます。金融庁とも連携し、将来は上場企業を中心に有価証券報告書への記載を義務付けることを視野に入れます。

開示項目として女性や外国人社員の比率、中途採用者に関する情報を検討します。人材教育についてはリスキリング(学び直し)や社外での学習機会の方針が候補になります。ハラスメント行為の防止策も議論の対象とします。政府は人的資本の情報開示に前向きに取り組む企業にお金が集まる仕組みをつくり、日本企業の競争力の底上げにつなげたい考えです。

人的資本の開示は欧米が先行します。米国は2020年8月に企業に情報開示を義務付けました。離職率や性別・人種別の賃金にまで踏み込んで開示する例もあります。欧州連合(EU)は一定規模の企業に「社会と従業員」についての開示を義務化する指令を14年に出しました。英国や香港、インドも人的投資や人権保護の開示を求めています。

日本企業が人材の能力開発に投じる費用の国内総生産(GDP)に対する比率は、2010年代の平均で0.34%と、米国の1.86%やドイツの1.34%よりも低いので、底上げを図る必要があります。

日経新聞2022年2月9日より引用