雇用調整助成金の財源確保に赤信号

1月7日の労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会で、労使が「国は雇用政策への責任を示すべきだ」として求めてきた失業手当の国庫負担率の25%への引き上げなど、雇用保険制度の抜本改革に向けた議論は先送りされました。

新型コロナウイルスの感染拡大で企業の休業手当を支援する雇用調整助成金の支給決定額が累計で5兆円を突破し、失業等給付の積立金を雇調金に回したため、財源が足りなくなっています。

22年度の保険料率を前提にした失業等給付の収入は約8000億円ですが、支出は約1兆6000億円を見込んでいます。さらに22年度は約5000億円を雇調金向けの財源に貸し出す予定で、失業等給付の積立金は22年度末に500億円程度しか残りません。

雇調金については、厚生労働省で財源確保のスキームを議論することはもちろんのこと、事業再構築助成金などの動向も踏まえ、国としての補助金の全体最適化を議論する時期に来ているのではないかと思います。

日経新聞2022年1月8日より引用