オミクロン流行警戒、検査拡大急ぐ 大阪で初の市中感染

概要

厚生労働省は22日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に感染した大阪府の3人について感染経路を特定できない市中感染最初の事例と認定した。同省の専門家組織「アドバイザリーボード」の脇田隆字座長は「(同型の)流行が始まってもおかしくない状況だ」と指摘。同型は感染拡大ペースが速く、検査や医療の体制拡充のスピードが問われる。

自治体への対応要請

厚労省は22日、オミクロン型の感染急拡大に備え、2022年1月上旬までに検査や病床確保、自宅での健康観察の体制などを強化するよう自治体に通知した。検査需要が急増しても対応できるように病院の診療時間延長検査数の拡充、民間企業の活用などを求めている。抗原検査キットの積極的な活用も促した。

今後は水際対策から国内対策へ重点を移す必要性を国民に周知していくことが求められる

米英の状況

検査を早期に拡充する必要性は海外の感染状況からもうかがえる。オミクロン型の感染ペースの速さが示されたり、検査によって無症状の感染者を早期に把握する重要性が高まったりしてきているからだ。

米疾病対策センター(CDC)の推計によると、12~18日の週に米国で新たに確認したコロナのうちオミクロン型が73.2%を占め、デルタ型(26.6%)を逆転した。1週前は12.6%、2週間前は0.7%だった。

英国も7割を超え、デンマークも似た比率で上昇している。CDCのワレンスキー所長は米メディアに「他国で急激な割合で増えていたので(米国での急増も)想定していた」と語った。

検査体制を強化していることで把握が進み、感染者数は増え続けている。ニューヨーク市の1日あたりのPCR検査などの件数は1日10万件を超える日もある。7日移動平均でも8万件台まで増えており、1カ月前に比べて2万件強増えた。全米各地の民間が運営する検査場では長蛇の列ができるなど、検査希望者が増えている

バイデン米政権はワクチンのブースター接種(追加接種)の促進に加え、自宅で受けられる簡易検査キットを5億個買い取り、22年1月から希望者に無料で配る。全米人口の約1.5倍にあたる。ニューヨークには連邦政府が運営する検査場を設ける。

英国では希望者全員に簡易検査キットを無料で配布しているが、オミクロン型の感染拡大を受けて需要が急増し、一時入手しづらい状況になった。PCR検査も1日50万件を超えており、結果を出すまでの時間が一部で長くなっている。

日本の状況

一方、日本は足元で感染者数が落ち着いているため、多い時に1日あたり20万件ほどあった検査数は今は4万~5万件にとどまる。政府は12歳未満や健康上の理由などでワクチンが接種できない人を対象に無料でPCR検査を実施するが、年内に開設される検査所は多くない見込みだ

東京都は23日、千代田区や港区、新宿区などにある木下グループのPCRセンターなど10カ所でワクチン接種ができない人向けの無料検査を始める。陽性疑いが出た場合は医療機関で確定検査を受ける必要がある。大阪府も23日に7カ所で無料検査を始め、24日以降は100カ所以上に増やす。最終的に約450カ所の整備を目標に掲げる

無料検査について政府はこれまで一般の無症状の人が受けられるのは緊急事態宣言が発令された地域と想定していた。ただ、市中感染が確認されたため「第6波」が現実味を帯びる。感染が急拡大したことのある地域などで無料検査の対象を拡充する案が政府内で浮上している。

後藤茂之厚労相は22日、市中感染などが見つかった地域の検査体制を強化するか問われ「検査を重点的に行うオペレーションを考える必要もある」と述べた。

PCRよりも簡易に検査できる抗原検査キットも、個人は薬局で薬剤師の説明なしで購入できず、インターネットでも買えない日本では検査を手軽に受けられる環境整備が進んでいない検査数が増えなければ感染力が強いとされるオミクロン型は、無症状者らを通じて一気に感染が広がる懸念がある

デルタ型の国内初の感染例(空港検疫を除く)は4月20日。その後、約4カ月で東京都の感染はほぼ同型に置き換わり第5波につながった病床確保が間に合わず、自宅で亡くなる人も出た

オミクロン型の感染が急拡大した際の医療体制の整備も課題だ。厚労省は自治体への通知で、病床の早期確保に向けて感染状況の「フェーズ」の引き上げを早めに判断するよう求めた。感染減少に伴い休止している宿泊療養施設の早期の稼働なども要請した。

政府は第5波のピーク時に比べて3割(約1万人)増の3.7万人が入院できるコロナ病床を確保した。医療が逼迫した医療機関に向け、約6000人の医師や看護師を他から派遣する体制も整えた。ただ実効性が伴うかは見通せない

オミクロン型にはワクチンの3回目接種が有効との分析も出ている。政府は2回目の接種から8カ月の間隔を原則としているが、前倒しを進めている。ワクチンの調達が順調に進むかや、自治体の準備が整うかが前倒しの鍵を握っている。

日経新聞電子版2021年12月23日より引用

日本でもとうとう感染経路が特定できない市中感染が確認されました。

今後感染が拡大するまでに他国の事例を見ると時間がかからないと思います。

日本は、水際対策を強化してきましたが、今後は、国内での感染拡大の防止策と感染した人を看護する体制の両面の整備が必要になります。

個人レベルでできることは限られますが、感染予防に細心の注意を払い日常生活を送りたいと思います。