新型コロナウイルスの新変異型「オミクロン型」が欧米で猛威を振るっている。感染者の急増でオランダは19日からロックダウン(都市封鎖)を決めた。
英国では新規のオミクロン感染者が1万人を超え、ドイツは英国からの旅行者の受け入れ停止を決めた。
重症者や死者の数は落ち着いているが、各国とも医療体制の逼迫を懸念し、規制強化に動いている。
オランダのルッテ首相は18日、新型コロナの感染拡大の阻止に向けて厳しい制限措置を導入すると発表した。スーパーなどを除いた店舗、レストランや学校の閉鎖などが含まれ、事実上のロックダウンとなる。
フランスも英国からの旅行やビジネスでの渡航を禁止している。
ロイター通信が現地報道として伝えた内容によると、イタリアのドラギ首相は23日にも屋外でのマスク着用義務やスタジアムなどの入場時に陰性証明の提示を求める新たな行動規制を発表する可能性がある。
行動規制はクリスマスや年末年始の消費、人の移動を抑制する。経済再開の重荷となることは避けられない。オミクロン型は世界89カ国で確認されている。欧州各国が神経をとがらせるのは、オミクロン型は重症化率が低いとの指摘もある一方で感染拡大ペースが速く、医療体制が逼迫する恐れがあるためだ。
世界保健機関(WHO)は18日、オミクロン型の感染が「1.5~3日で倍増している」との見方を示した。入院患者が増え「多くの医療機関が対応できなくなることがあり得る」と警告した。
米国ではロックダウンなどの厳格な措置は取られていないが、イベントの自粛が相次いでいる。
米プロフットボールNFLは17日、新型コロナの米国内の感染者の急増を受け、週末の3試合を週明けに延期すると発表した。北米プロアイスホッケーNHLも同様に複数の試合の延期を発表した。米ニューヨークでは劇場街ブロードウェーで休演が増えている。
米NBCテレビによると、バイデン米大統領は21日に演説し、オミクロン型への新たな対策を打ち出す。ワクチン未接種者に対して「冬がどういうものになるか厳しく警告する」見込みだという。
日経新聞電子版2021年12月20日より引用
各国でオミクロン型への対策を打ち出しています。
人の移動や物流が滞ることによる経済への影響が心配です。
以前、医療体制の逼迫が懸念されることを記述しましたが、オミクロン型による経済への影響も深刻になります。
各国でインフレ対策としてテーパリングの縮小や今後利上げをしていく局面で、オミクロン型の流行が拍車をかけて、来年にかけて経済活動や世界の株価の動向が心配になります。