概要
世界が新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大への対応に追われている。
世界保健機関(WHO)は18日、オミクロン型の感染が「1.5~3日で倍増している」との見方を示した。16日時点で世界89カ国で感染確認されたオミクロン型の広がりは世界の感染拡大ペースをさらに速める懸念がある。
日本は現時点で感染拡大に歯止めがかかっているが、直近の海外渡航歴のない人のオミクロン型の感染も出始めており、警戒が欠かせない。
海外の状況
米ジョンズ・ホプキンス大によると、16日時点の世界の新型コロナの新規感染者数(7日移動平均)は約62万3000人で、1カ月で2割強増えた。
英国は18日、新規感染者が9万人超に達し、近くオミクロン型がコロナ感染者の大半を占める見通しだ。
感染者の母数が増えれば医療従事者が感染して働けなくなり医療体制が回らなくなる懸念もある。WHOは18日、オミクロン型の感染拡大で入院患者が増え「多くの医療機関が対応できなくなることがあり得る」と警告した。
欧米はオミクロン型への対応に躍起だ。重症化リスクが低いとの報告もあるが、英国で13日から可能な限りの在宅を勧告。フランスは飲食店などの利用にワクチン接種証明を義務付ける方針だ。米ニューヨークでは劇場街ブロードウェーで休演が相次ぐ。
国内の状況
国内でも確認されたオミクロン型の感染者が18日時点で60人超に達した。このうち直近の海外渡航歴がない人の感染も5人となった。感染経路を特定できない「市中感染」の現実味は徐々に増している。
沖縄県では18日、新たに2人のオミクロン型の感染が確認された。沖縄本島北部の米軍キャンプ・ハンセンへの勤務者とその濃厚接触者でいずれも直近の海外渡航歴はなく、国内で感染したケースだ。同キャンプ内では150人超のクラスター(感染者集団)が発生。感染経路としてキャンプ内の渡航歴のある集団が疑われるが、感染経路を追えているため「市中感染ではない」と厚生労働省は説明する。海外では通常、院内感染以外を市中感染として扱うのとは大きく異なる。
水際対策の限界も見えてきた。厚労省は18日、空港検疫で新たに13人のオミクロン型の感染が判明したと発表。潜伏期間があるため入国時の検査で陰性でも、14日間の自宅待機中に発症する事例も出ている。自宅待機中は他の人と接触しないルールも徹底されていない。
東京都内の20代女性は米国から帰国した際の水際検査では陰性だったが、14日間の自宅待機中に発症。女性が自宅待機中に接触した都内の20代男性も感染し、男性は感染判明前に川崎市内でサッカーを観戦していた。都などはスタジアムで周囲にいた約80人や職場同僚らの健康状態の確認を急ぐ。
厚労省が「市中感染」と認定したケースはまだないが、オミクロン型は感染拡大スピードが速いだけに、いったん広がり出すと「第6波」が現実味を帯びる。自治体も警戒を強めている。
国内での対応
京都府はコロナ感染者を全員入院させ、オミクロン型かを調べている。
北海道も感染者を全員入院させ、個室で治療するなど市中感染リスクを封じ込める。
自治体はオミクロン型の濃厚接触者に宿泊療養施設での待機を求めている。
法的な強制力はなく、大阪府内では濃厚接触者159人(17日時点)のうち、宿泊療養施設への入所者は半数程度。東京都内でも約750人の濃厚接触者のうち宿泊施設での待機は4割弱だ。
東京都は政府に、海外からの入国者全員をオミクロン型の検査結果が出るまで空港の検疫エリアや検疫施設内で待機させるよう、水際対策の徹底を要望した。
大阪府は関西国際空港の検疫で陰性だった人に、感染の有無を調べる「抗原検査キット」を無料配布。自宅待機中に3日に1回程度使い、感染の疑いがある場合は保健所に連絡してもらうように求めている。
日経新聞電子版2021年12月19日より引用
水際対策も結局時間稼ぎでしかなことが判明しました。市中感染が起こり、第6波が広がるのも時間の問題かと思います。入院患者が増え続けると、医療体制が崩壊する危険が伴います。
危険に対処するために、既に医療機関にかかっている方は、今後感染が広がって受診できない場合の対応について医師と相談しておく必要があるし、健康な方も、医療機関にかかるリスクを軽減するために、いつも以上に健康管理に気を使う必要があるのではないかと思います。
ストレスの多い社会ですが、健康管理には十分気をつけて頑張ろうと思います。