医師会や自治体が訴え ワクチン「3回目」前倒し

概要

新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が日本でもようやく始まった。

新たな変異型「オミクロン型」の流入を受け、接種の前倒し要望が相次ぐ。

政府は2回目接種から「原則8カ月」とするが、今後の感染状況をみつつ、例外的に認める「6カ月」の対象範囲の拡大を検討。

一斉に前倒しすればワクチンの円滑な供給ができなくなったり、打ち手不足が再燃したりする懸念がある。

現状

厚生労働省は11月、2回目からの接種間隔は8カ月が原則で、6カ月は例外だと表明した。

クラスター(感染者集団)が発生した医療機関の入院患者や勤務者らを対象に、エリア内で感染拡大を抑え込む必要がある場合に限る。既に横浜市の高齢者施設で前倒しが認められた

医師会、全国自治会の訴え

日本医師会の中川俊男会長は1日、堀内詔子ワクチン相と面会し、接種の前倒しを求めた。「体制が整った自治体から接種してはどうかという意見もかなり出ている」と強調した。

また、全国知事会の平井伸治会長(鳥取県知事)が「着実に3回目接種を進めることはオミクロンに対する1つの防御措置にもなる」と指摘。11月30日に堀内ワクチン相とオンライン協議し、3回目接種について「感染状況に応じて行うことが必要だ」と訴えた。

政府の対応

こうした状況を踏まえ、松野博一官房長官は1日の記者会見で「感染状況の変化や自治体の準備状況、ワクチンの供給力などを踏まえ、必要があれば8カ月を待たずに接種を行う範囲についてさらに検討を行う」と述べた。

海外ではオミクロン型の感染拡大を背景に接種間隔を3カ月や6カ月にする国が出てきている。

日経新聞12月2日朝刊より引用