令和4年度厚生労働省予算概算要求 (雇用対策)

先月、令和4年度厚生労働省予算概算要求について記事にしましたが、もう少し掘り下げて記述します。

雇用調整助成金等の支給実績は、令和3年10月までの累積で4.5兆円を超えた

直近では、1週間あたり500億~600億円のペースで増え続けており、令和4年度に関しても、雇用調整助成金等による雇用維持が、雇用対策の柱の一つとされている。

だが、主たる財源であった雇用保険二事業の資金はすでに枯渇しており、今後の財源確保は年末に向けた検討課題だ。現在は二事業の保険料収入のほか、雇用保険本体の積立金からの借り入れや、国庫(一般会計)からの繰り入れで賄っている状況だが、労働政策審議会では労使ともに国庫による負担強化を求めており、雇用保険料率引き上げによる財源確保には強く反対している。

 一方、在籍型出向により労働者の雇用維持を図る出向元と出向先双方の事業主を助成する産業雇用安定助成金は、令和3年2月の制度創設以降7月末までに計3.5億円が支給された。

支給実績は着実に伸びてはいるものの、537億円を確保した令和3年度予算の執行率で見ると1%未満であり、低調な状況が続いている。

コロナ禍が長期化するなか、限られた人材の有効活用や能力形成・向上を図っていく意味においても、在籍型出向を活用した「失業なき労働移動」による雇用維持の重要度は増しており同省は令和4年度も引き続き産業雇用安定助成金等の活用を推進していく方針。具体的な予算額は、雇用調整助成金とともに年末の予算編成過程で決定する。