厚生労働省は9月24日、産業雇用安定助成金を活用した出向状況等を労政審職業安定分科会雇用保険部会に報告した。
それによると、同月3日時点における出向計画受理件数は、労働者数が7,107人、出向元事業所数が683ヵ所、出向先事業所数が1,062ヵ所となり、業種別では異業種に出向する労働者が約3分の2を占めることがわかった。企業規模別に見ると、中小企業から中小企業への出向が2,607人で最も多い。産業雇用安定助成金の累計支給額は令和3年7月末時点で3.5億円だった。
産業雇用安定助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先双方の事業主に対して経費の一部を助成する制度で、令和3年2月5日に創設された。
コロナ禍が長期化するなか、在籍型出向を活用した「失業なき労働移動」は、雇用の維持にとどまらず、人材の有効活用や能力形成・向上にもつながることから、同省はこうした助成や産業雇用安定センターによるマッチング支援などを通じて推進している。
8月1日からは、独立性が認められない子会社などの事業主間で実施される出向も助成対象に加えられた。 業種別の出向状況を見ると、出向元で最も多いのは運輸業・郵便業で2,905人。
一方、出向先で最も多いのは製造業の1,535人だった。同業種間の出向は2,409人、異業種への出向は4,698人となり、異業種への出向が66.1%を占めた。
企業規模別では、大企業間の出向が1,723人、大企業から中小企業への出向が1,097人。一方、中小企業間の出向は前述のとおり2,607人で、中小企業から大企業への出向は1,573人だった。