ワクチン接種拒否で事業主が従業員に対してやってはいけないこと

厚生労働省は新型コロナウイルスワクチンを接種しない労働者や求職者に不利益が生じないよう企業に対応を促す。

Q&Aに整理すると次のようになる。

Q1 新型コロナウイルスワクチン接種をしていないことを理由に解雇してもよいか。

A1 接種しないことだけを理由とした解雇や雇い止めは許されない。

Q2 接種を採用条件とすることができるか。

A1 接種を採用条件とする場合理由などの明示が必要となる。

  接種を採用条件とすることについては「その理由が合理的か求人者が十分に判断し、応募者にあらかじめ示して募集を行うことが望ましい」。企業側にも採用の自由があり、条件とすることを禁じる法令はない。ただ国は本人の適性や能力に応じた公正な採用活動を求めており、「接種の有無で不採用とするのは望ましくない」(厚労省担当者)としている。

Q3 接種をしていない職員を顧客と接しない業務などへの配置転換できるか。

A3 配置転換への同意を無理に強要すれば「パワーハラスメントに該当する可能性がある」

厚労省は、顧客と接しない業務などへの配置転換には慎重な対応を呼びかける。企業には感染防止対策で代替できないか検討し、元の業務に戻れる時期などを説明して労働者の理解を深めるよう努めることを求める。とも記した。強制的な解雇や配置転換は労働契約法や過去の判例に照らして「権利乱用」にあたる場合がある

Q4 海外では従業員のワクチン接種を義務化する業種もあるようだが、日本も同様にできないのか。

A4 海外では、ワクチン接種を義務化することが可能な仕組みを採用している国もあるが、日本では予防接種法で「接種を受けるよう努めなければならない」と定め、ワクチン接種を「努力義務」と位置付けている。健康上の理由などでワクチンを接種できない人に差別的な扱いが生じないよう配慮している。