東京都内の自治体がスマートフォンの扱いに不慣れな高齢者への支援を始めている。
各自治体は行政サービスのオンライン化を順次進めているが、IT(情報技術)端末を使わない人にはサービス向上の恩恵が届かない。高齢者が行政サービスから「置き去り」にされないよう、端末の貸し出しや使い方講座の開催などに取り組んでいる。
内閣府の2020年10~11月調査によると、スマホやタブレットを「よく使う」「時々使う」人の割合は20~50代で90%を超えるのに対し、70歳以上は40.8%にとどまる。使わないのは「自分の生活には必要ないと思っている」「どのように使えばいいか分からない」などが主な理由であり、高齢者が行政サービスのオンライン化のメリットを十分享受できていない実態が窺える。
東京都では、年内にスマホ貸与を始める。市区町村、地域の自治会などと連携したリーフレット配布や体験教室の開催でスマホの利便性を伝え、希望者に約1カ月貸し出す。教室は年度内に延べ数百回開く。貸し出す数は現在調整中で、スマホには事前に都の防災アプリなどを入れる。
貸し出した後に自分でスマホを購入した人向けに操作方法などの相談会も開いていく。都は行政手続きのデジタル化を進めるなかで「デジタルデバイド(情報格差)の是正」も掲げている。
東京都港区は高齢者がスマホやタブレットの操作方法などを相談できる窓口を6月から設けている。高齢者向け施設など区内6カ所にあり、予約は不要で気軽に立ち寄ることができる。