無期転換した有期契約労働者は3割弱にとどまる

厚生労働省は7月28日、有期労働契約に関する実態調査結果を公表した。それによると、労働契約法18条の無期転換ルールにより、平成30年度及び令和元年度に無期転換申込権が生じた人のうち、無期転換の権利を行使した人は3割弱(27.8%)にとどまることがわかった。

同省は、無期転換しない有期契約労働者が7割に及ぶ背景として、制度に対する認知度不足や転換後の労働条件が不明確なことが一因ではないかと分析する。調査によると、無期転換ルールを知らないと回答した有期契約労働者は約4割(39.9%)。また、企業側でも、5年の通算期間等を満たした労働者に対し、無期転換ができること及び転換後の労働条件を説明していないと回答した割合が約4割(40.4%)に上った。有期契約労働者に無期転換の希望の有無を聞いた調査でも、最も多い回答は「わからない」で53.6%だった。

 無期転換ルールに対する企業側の認知度は、8割以上(85.4%)が何らかを認知しており、その情報入手ルートは社労士や弁護士等が47.4%で最も多かった。一方、有期契約労働者側の情報入手ルートは勤務先が55.5%で圧倒的に多く、勤務先を通じた情報提供が認知度向上のカギになりそうだ。 

一方、無期転換した人の属性を見ていくと、女性が約8割(79.0%)を占める。年代別では50歳代(41.7%)40歳代(29.0%)が多い。企業規模別では、規模が大きくなるほど無期転換した人の割合が高くなり、1000人以上企業では39.9%29人以下企業では8.6%だった。


調査は、常用労働者を5人以上雇用している1万1,473事業所を対象とした事業所調査と、回答のあった事業所で働く有期契約労働者1万16人を対象とした個人調査があり、有効回答数は事業所調査が5,662事業所、個人調査が,668人だった。