手続は原則本人、書類の証明等は事業主に求める
厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会は6月21日、本人の申出を起点に雇用保険が適用される複数の事業主に雇用される65歳以上の者(特例高年齢被保険者)について、その要件や手続等を定めた「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」をおおむね妥当と認めた。
令和4年1月1日から施行する。
新たに雇用保険の適用対象となるのは、次の適用要件を満たす者。
- 複数の適用事業に雇用される65歳以上の者
- いずれの事業所の週所定労働時間も20時間未満
- 2つの事業所の週所定労働時間を合算すれば週20時間以上
事業所がこれらを把握するのは困難なので、本人がハローワークで手続を行い、特例高年齢被保険者として加入する。
失業時の給付は高年齢求職者給付と同様に一時金とし、1つの事業所のみを離職した場合でも、その事業所の賃金に基づき支給されるが、週20時間以上の労働を前提としている賃金日額の下限は適用しない。
また、3つ以上の事業所で雇用されていた場合は、他に合算して週所定労働時間が20時間以上とならないかを確認する。
このほか、育児休業給付または介護休業給付の支給を受けるには、2つの事業所でともに休業することを要件とする。
省令では、合算対象となる事業所の週所定労働時間の下限を5時間と規定。また、特例高年齢被保険者の資格得喪、転勤届、個人番号変更届、育児休業給付や介護休業給付にかかる休業開始時賃金証明書等の手続は、原則として本人が本人の住所地を管轄するハローワークに対して行うが、手続に必要な書類の証明を求められた事業主は、速やかにその証明をしなければならないと定める。
また、本人が死亡その他やむを得ない理由で手続ができない場合は、特例高年齢被保険者を雇用する事業主が本人に代わって届出をしなければならないとした。