創業支援等措置の高年齢者は労災特別加入対象に

月間社労士4月号より 

 正社員(フルタイムの正規的な無期雇用労働者)と短時間労働者、有期雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁止するパート・有期法が、中小企業に対しても施行された。労働政策研究・研修機構の調査によると、昨年10月時点で対応を検討中あるいは未定と回答した中小企業は約4割(39.4%)。コロナによる影響もあり、4月以降も対応が十分ではない中小企業は少なくないと思われる。

 一方、65歳から70歳までの就業機会の確保(高年齢者就業確保措置)を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法も4月施行。同措置には、定年廃止、定年の引き上げ、継続雇用制度導入といった従来の措置のほか、業務委託や社会貢献事業に従事する制度といった雇用によらない選択肢(創業支援等措置)があり、導入には実施計画の作成や過半数代表者等の同意など、所定の手続が必要となる

 なお、創業支援等措置に基づき就労する高年齢者は、原則として労働法の保護が及ぶ「労働者」には該当しないが、労災保険に関しては特別加入の対象が拡大され、加入できるようになった。

 このほか、常時雇用する労働者が301人以上の事業主に対して、「正規雇用労働者の採用者数に占める正規雇用労働者の中途採用者数の割合」の公表を求める改正労働施策総合推進法も4月施行直近の3事業年度における中途採用比率をおおむね1年に1回、インターネットなどで公表する。こうした情報公表を求めることで、求職者と企業のマッチングを促進するねらいだ。

 他方、令和3年度の雇用保険料率は前年度から変更されない。原則3年ごとに改正される労災保険率も前回の平成30年度改正から3年が経過したが、据え置かれた。なお、特別加入保険料率も変更されないが、新たに追加された4区分の保険料率はいずれも1000分の3とされた