2021年5月13日 2:00日経新聞電子版より抜粋編集
概要
厚生労働省はウーバーイーツなど料理配達員を労災保険の特別加入の対象とする方向で調整に入った。保険料を払えば、けがの治療費などを給付する。インターネットで単発の仕事を受けるギグワーカーを保護する動きは海外でも相次ぐ。新しい働き方が広がる中、安全網を整える。
特別加入拡大の動き
労災保険は業務に伴うけがや病気の治療費のほか、障害が残った場合の給付や死亡時の遺族給付がある。雇用する事業主に加入義務があり、保険料も負担する。個人事業主も特例的に任意加入できる仕組みがある。建設業の一人親方や個人タクシーの運転手らが対象で、4月に俳優やアニメーターなども追加された。
厚労省は14日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)労災保険部会で、特別加入の拡大の議論を始める。早ければ年内に労災保険法の省令を改正する。保険料率は仕事の危険性などを勘案して今後検討する。フリーで働くIT(情報技術)エンジニアも特別加入の対象とする方向で調整する。
労働法制で保護されない者への対応
日本は雇用される労働者しか原則、労働法の保護が及ばない。個人事業主は労働時間規制や最低賃金、雇用保険の対象から外れる。海外ではドイツなど法律で雇用労働者と個人事業主の中間の類型を設けて一定の保護をする国もある。
イギリスの判例
英最高裁は2月、米ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズの運転手を個人事業主ではなく労働法の保護が及ぶ「就労者」にあたると認定し、最低賃金などが適用されることになった。
働く環境の法整備
内閣官房の2020年の調査によると、国内のフリーランスは推計462万人(本業214万人、副業248万人)。仕事が原因でけがや病気をしたことがある人も2割おり、仕事の中断に追い込まれる場合もある。フリーランスは時間や場所に縛られず働けるメリットもある。新たなビジネスが成長するためにも働く環境を整備する必要がある。
まとめ
ギグワーカーは、労働基準法と独占禁止法の網にもかからない。
今後、働き方の多様化が進むことが想定される中、他国ではギグワーカーを労働者として認める先進的な判例が出てきている。
日本でも早急に法整備が検討されて、今まで労働基準法や独占禁止法での保護が及ばなかったギグワーカーがより働きやすい環境で働けるようになる時代がもうすぐ来ることになりますが、国際社会での人材争奪戦に負けないようにすることが日本の持続的な成長には必要なのかもしれません。